ちゃらっちゃー、ちゃちゃっ!
人造人間さおりん
セイトカイ基地。手に持った鋼鉄の電磁杖でアズサムラサキを打ち据えるプロフェッサーツキシマ。
- プロフェッサーツキシマ
- (怒髪天を突く激怒の様)この役たたずめが!長瀬祐介をさらう事も出来ずに逃げ帰ってくるとは!
- アズサムラサキ
- (息絶え絶えに)お、お許し下さいプロフェッサーツキシマ。あの時、るりるりさえ邪魔しなければ祐介はおろか、さおりんめもひっ捉える事が出来ましたのに、、
- プロフェッサーツキシマ
- なに?(声のトーンを落とし、眼光鋭く)一体どういう事だ。
- アズサムラサキ
- (ぜぇぜぇ、と息を切らしながら)学園に先行して潜入していたるりるりが、あたしの作戦を邪魔したのです。
- プロフェッサーツキシマ
- (大声で)本当か!
(聞き取りにくい小さな声でぼそぼそと)瑠璃子、、まさかあの長瀬の小僧を救ったというのか。
(くるり、とアズサムラサキの方に振り向いて)アズサムラサキ!お前は作戦を続行しろ。何としてでも長瀬祐介をわしの元へつれてくるのだ。- アズサムラサキ
- はっ!(よろよろと立ち上がり、敬礼すると自動ドアから退出)
プロフェッサーツキシマは椅子にどっかと座ると杖にもたれかかって考え込む。
- プロフェッサーツキシマ
- 瑠璃子、、、
「場面転換」
セイトカイ秘密基地にあるアズサムラサキの部屋。ベッドに横たわって白骨チヅルから修理を受けているアズサムラサキ。心配そうに見守るハツネグレイ、赤地雷カエデ。
- アズサムラサキ
- (目に涙を浮かべながら)くそっ!るりるりの奴の邪魔さえなければ、こんな屈辱を味わう事なんてなかったのに!くやしいっ!
- 白骨チヅル
- (アズサムラサキの頭をなでながら)その悔しさをばねになさい。手柄を立てて、あのるりるりを見返してやるのよ。
- ハツネグレイ
- そうだよ!いじけてるのなんかお姉ちゃんらくしないよ!いつもみたいに元気出して!
- 赤地雷カエデ
- (ぎゅっとアズサムラサキの手を握る)……
- アズサムラサキ
- みんな、、、ありがとう(涙をぬぐう)。
- ハツネグレイ
- それにしても、るりるりの奴なんでお姉ちゃんの仕事を邪魔したのかな!(可愛らしくぷんぷんと怒るように演技すること)
- 白骨チヅル
- (首を傾げて)さぁ、、今回のプロフェッサーツキシマの命令も要領を得ないものだし、、るりるりには私たちに知らされていない秘密があるのかもしれないわ。
- アズサムラサキ
- 大丈夫!秘密だかなんだかしらないけど、今度こそるりるりに邪魔される前に長瀬祐介をとっ捕まえてやるんだから!
ハツネグレイときゃぁきゃぁと言い合って盛り上がるアズサムラサキ。そんな中白骨チヅルは一人物思いにふける。
- 白骨チヅル
- アズサ、汚名返上の秘策があるわ。
「場面転換」
朝の教室。授業前、思い思いに会話を弾ませる生徒達。
瑠璃子が教室に入ってくると、男子生徒は会話をとめて瑠璃子の姿に見とれる。
- 少年A
- いいよなぁ、月島のるりちゃん。
- 少年B
- まったく。くそーっなんだってるりちゃんは長瀬なんかにべったりなんだ。
- 少年A
- そうだよな!全然つりあってないよな。
瑠璃子が席に付くと、祐介は固くなる。瑠璃子がにこりと微笑みかけると、ぎこちなく笑いかえす。
- 祐介
- (独白)瑠璃子さん、、、おじさんが創ったアンドロイド。沙織ちゃんの妹、、、 でも、そんな事なんか関係無く、とっても気になって仕方ない、、どうしてなんだろう。何なんだろう、この不思議な気持ちは。
授業が始まる。隣に瑠璃子がいるので集中できない祐介。授業を聞かずノートに世界を滅ぼす爆弾の絵を落書きをしているが、時々ちらちらと瑠璃子の横顔を盗み見する。
- 教師
- 長瀬君!
- 祐介
- (突然指名されて驚く)はぃ?
祐介の間の抜けた声に一同爆笑。のそのそと起立する祐介。気まずい状況に赤面する。
- 教師
- 長瀬君、教科書の続きを読んで。ちゃんと、授業を聞いてたの?
何処まで授業が進んでいたか分からず、あたふたする祐介。
- 祐介
- (独白)くそっ!こんな授業なんて!
祐介が教室から抜け出そうと考えたその時、祐介の教科書の一行をそっと指差す瑠璃子。
- 瑠璃子
- (祐介にだけ聞こえる様に)ここからよ。
ぱっと明るくなる祐介の表情。教科書を読みはじめる祐介。教科書を読みながら、ちらりと瑠璃子を見ると、瑠璃子は満面の微笑みを浮かべている。
「場面転換」
化学実験室。理科の授業で化学実験室に来て合成の実験授業をしている。
かちゃりかちゃりとガラス器具を扱う音が教室に響いている。薬品をこぼして黄色い悲鳴をあげる女子生徒。バーナーの火力を上げすぎて歓声をあげる男子生徒。
実験の授業はふたり一組で行っている。祐介は瑠璃子とペアを組んでいる。
- 祐介
- (意を決して)る、瑠璃子さん
- 瑠璃子
- (幼女の様に首を傾げて)なに?
- 祐介
- (しどろもどろの口調で)さっきは、どうもありがとう。授業の時、助けてくれて(最後は消え入るかのような声で)
- 瑠璃子
- (目をすぅっと細めて微笑む。祐介の言葉から少し間を置いて話す)だめだよ、授業を途中で逃げ出すなんて考えちゃ。
- 祐介
- えっ!ど、どうしてそれを。
瑠璃子は祐介の質問に答えず、ただあいまいな笑みを浮かべるだけ。
- 祐介
- (実験の作業をしながら独白)瑠璃子さん…不思議な人だ。あ、人じゃないのか。
でもとてもアンドロイドとは思えない。不思議な魅力が漂ってくる。そして、なぜか懐かしい。ずっと前にあったような、そんな気がする。そんな事あるはずもないのに、、ぼんやりと考え事をしながら、実験器具を扱っていたため、フラスコを取り落としてしまう。ガシャンととガラスの壊れる音が実験室に響く。
- 祐介 しまった!(慌てて、ガラスの破片を拾おうとする。しかし誤って触って手を傷つける)
イタッ!祐介の指先から鮮血が流れる。瑠璃子は祐介の手をぱっと取ると、傷ついた指をくわえて傷をなめる。
- 祐介
- (瑠璃子のいきなりの行動に驚く)る、瑠璃子さん!
- 少女A
- (遠巻きに見ながら)いやーん、月島さんったらえっちぃ!
男子生徒達からひゅぅひゅぅとはやし立てられて、赤面して戸惑う祐介。
- 祐介
- る、瑠璃子さんもういいよ!
- 瑠璃子
- (口から祐介の指を離す。祐介にだけ聞こえるように)止血剤を塗ったから
- 祐介
- えっ?
- 瑠璃子
- (視線を祐介に向けて)驚いた…人工心臓が止まるかと思った…
- 祐介
- 瑠璃子さん、、(頬を紅く染める)
「場面転換」
放課後の教室。かばんに教科書を詰めて帰り支度をしている祐介。そこへ沙織がやってくる。
- 沙織
- 祐クン
- 祐介
- (くるりと振り返る。声の主が沙織としってがっかりした表情)あ、沙織ちゃんか。
- 沙織
- (ぷくっとふくれて)「沙織ちゃんか」はないじゃない、祐クン。
(祐介の机に手をついて)今日は顧問の先生が留守になったから珍しく練習お休みなの。
ねぇ、帰りにヤックにでも寄ってゆっくりしていかない?(と、おねだりポーズ)- 祐介
- (申し分けなさそうに)ゴメン。今日は先約があるんだ。
(言葉もそこそこに、かばんを手に持って教室を出ようとする)じゃ、またね。沙織は祐介の手を引こうとするが、ためらって途中で手を止める。
- 沙織
- (切なそうに)祐クン、、、
「場面転換」
街中。下校中の生徒達。沙織は一人でとぼとぼと歩いている。
- 沙織
- (独白)先約って、、、やっぱりあの娘なの?祐クン。
どうして、そんなに急にあの娘に、、、ヤックの前で足を止める沙織。驚きで目を大きく見開く。
ヤックの窓際の席に祐介と瑠璃子が座って、仲良くおしゃべりをしている姿が見える。ぽとり、とかばんを取り落とす沙織。じわり、と涙が込み上げてくる。呆然としている沙織の後ろから、セーラー服の少女が声をかける。
- 少女
- あーぁ、あの二人仲のよろしい事。長瀬君を取られちゃったわねぇ、新城さん。
- 沙織
- (後ろからいきなり話し掛けられて驚く)だ、誰あなた?
- 少女(梓)
- あら!陸上部のホープ、柏木梓さんを知らないなんて、あなたホントにウチの生徒?
- 沙織
- え、えっ?
- 梓
- (沙織のとまどいに関係無く話す)あの二人急に仲良くなっちゃったわよね〜。女子の間でも、あの二人のウワサで持ちきりよ。今日なんてあの子、化学の実験の時に怪我しちゃった長瀬君の指をなめてあげたのよ。
(頬に両手をそえてぶりっ子ポーズ)もう、エッチなんだから。- 沙織
- ゆ、指を!!
- 梓
- そう!
あの子ったら、いままでほのかに築いてきた長瀬君と新城さんの関係なんかお構いなしに、急に割り込んできちゃってさ。とっても無神経よね! (沙織の両手をとる)安心して新城さん、あたしはあなたの味方よ!- 沙織
- (呆気に取られて)は、はぁ。
- 梓
- (沙織の肩に手を回し、耳元に口を寄せて小声でささやく)新城さん!長瀬君を取り戻したいでしょ?それには、もっとすごい事しなきゃだめよ。
- 沙織
- (表情を曇らせて)もっとすごい事って??
- 梓
- (いらいらと)もう!鈍いわね。あなたよ、あなたをあげちゃうの。
- 沙織
- (大声で)ええっ!
沙織が急に大声を出したので往来の人々が奇異の目でふたりを見る。梓は路地裏に沙織を引っ張ってゆく。
- 梓
- もう!急に大声出さないでよ。恥ずかしいじゃない。
- 沙織
- ご、ゴメン、、で、でも
- 梓
- (沙織の言葉など聞こえていない。陶酔したように語る)彼にあなたのミサオをささげて、ふたりは固く結ばれるの。そうすればあなたと彼との関係はバッチリよ!
- 沙織
- (赤面してうつむく)で、でも、、
- 梓
- (沙織の背中をバンバンと叩いて)じゃっ!しっかりがんばるのよ!応援してるから。
と云うなり、梓は走り去ってゆく。一人取り残された沙織。
- 沙織
- き、急に、そんな事云われたって、、、
その時、ヤックから祐介と瑠璃子が出てくる。ふたりに気付かれないように電柱の裏に隠れる沙織。
仲良く話しているふたりを見ると、ぐっと握り締めた電柱にヒビが入る。
- 沙織
- (耳まで真っ赤になって赤面して)祐クンなら、、、あたし、いい。いいよ、、
遠くから沙織の様子をうかがっている梓(=アズサムラサキ)。
- 梓(=アズサムラサキ)
- ふふっ、チヅル姉の策にはまったわね、さおりん。
ええ、しっかりあなたの事応援してあげるわ
「場面転換」
学校。お昼休み。物思いにふけりながら廊下をとぼとぼと歩いている沙織。
- 沙織
- (独白)ホントに祐クンとHしたら、祐クンはあたしのところに帰ってくるのかしら。
じゃぁ、今までのあたしと祐クンって何だったの?今までだって、祐クンとは分かり合えてるって、、、思ってた。
でも、体を一つにしないとホントに分かり合えないの?じゃぁ、ホンモノの体を持っていないあたしたちロボットと人間とは、ホントに分かり合う事が出来ないって事?
わからない、、、あたしには良く分からないよ、、、階段を上って屋上へと出てゆく沙織。屋上へと出る扉を開けようとして、外の気配に気付く。扉をほんの少し開けて、隙間から屋上をみるとそこには祐介と瑠璃子がいた。驚く沙織。
- 沙織
- (独白)また覗き見している、、、あたしって嫌な娘、、、
屋上には祐介と瑠璃子しかいない。しばらくふたりは見詰め合ったまま言葉を発しない。
- 祐介
- 不思議な感じなんだ。瑠璃子さん、ぼくは君にずっと前にあってたような気がする。
そんなことあるはずも無いんだけどね。君は最近生まれたばっかりだって云うのに。- 瑠璃子
- (あいまいな笑みを浮かべて)そんなことないよ。わたしは長瀬ちゃんの事、生まれてすぐに気付いたよ。
- 祐介
- ど、どうして?
- 瑠璃子
- 電波が聞こえたの。長瀬ちゃんの電波が。
- 祐介
- 電波?電波って一体、、
- 瑠璃子
- (祐介の問いには答えずに)そしてわかったの、長瀬ちゃんがあの人なんだって。
- 祐介
- (瑠璃子の言葉が全く理解できない)瑠璃子さん、ぼくは君が何を言ってるのか全然分からないよ。
瑠璃子は、祐介の頭を包み込むように両手を添えると、祐介の両目を見据える。
- 瑠璃子
- 感じて…電波を…
そして思い出して…瑠璃子は背伸びすると、祐介にやさしくキスをする。驚く祐介。しばらくためらいがちに宙をさまよっていた祐介の両手は、やがて壊れ物でも触るかのように瑠璃子を抱く。
扉の隙間からふたりの姿を見ていた沙織はいたたまれなくなって走り去る。
瑠璃子は唇を祐介から離すと、扉の方を見て微笑む。
- 祐介
- (不思議そうに)どうしたの、瑠璃子さん?
- 瑠璃子
- 何でもない…(もう一度祐介にキスをする)
階段を駆け足で降りてくる沙織。途中の階段の踊り場で立ち止まる。
- 沙織
- (独白)いや!いやいや!
祐クンをこのままあの娘に取られるのは嫌!
祐クン!どうして?今までずっといっしょに、セイトカイと闘ってきて、つらい事も悲しい事も嬉しい事も、みんなふたりいっしょだったのに。そのあたしより、学園に来たばかりのあの娘の方がいいって云うの?どうして??
あたしには、まだキスしてくれてないのに、あの娘には、、、(涙ぐむ)- (ぎゅっと体を抱きしめて)あたしをあげれば、祐クンはあたしを分かってくれるの?
どきどき、と沙織の人工心臓が高鳴る。かぁっと紅くなる頬。
沙織の感情の高まりと共に、沙織の股間に愛液がじわりとにじむ。
- 沙織
- (驚愕)ええっ!!
驚きとともに、さらに愛液はにじみ太股を伝わって滴り落ちてくる。
- 沙織
- どっどうして!ツキシマの毒電波笛の攻撃を受けてる訳でもないのに!
どうしてふきふき回路が!上の階から女子生徒(沙織の友人)が階段を降りてくる。踊り場で震えている沙織をみて、不審がって声をかける。
- 沙織の友人
- 沙織ーっ!どうしたのそんな所で!
- 沙織
- (友人に見られまいと混乱する)こっ!来ないでっ!!(走り、逃げ去る)
- 沙織の友人
- 沙織??
股間が切なくうずくのをこらえながら走る。
- 沙織
- (独白)どうしたっていうの!もしかしてふきふき回路が暴走しているっていうの?
もし、ふきふき回路が暴走してしまったら、あたしは一体どうなってしまうの!
「場面転換」
セイトカイ秘密基地。中央にプロフェッサーツキシマが苛立たしげに座っている。 そこへ突如、壁を突き破ってるりるりが登場。
- プロフェッサーツキシマ
- る、るりるり、どうしたというのだ!
- るりるり
- (焦点の合わない目。プロフェッサーツキシマを見てはいない)…わたしを呼んでいるって聞いたから
- プロフェッサーツキシマ
- そ、そうだ。お前はアズサムラサキの作戦の邪魔をしたそうだな。そのことについて詰問するために呼んだのだ。
- るりるり
- (つまらなさそうに)そんなこと…そんな話なら聞く必要はないわ。
足からジェット噴射して天井を突き破り去ってゆくるりるり。
- プロフェッサーツキシマ
- (青筋を立てて)ぬ、ぬうぅぅぅっ!
許さん!許さんぞ瑠璃子。わしを二度裏切るのはっ!
放課後、誰もいない体育館。一人、トスマシンを使ってアタックの練習をしている沙織。必死の形相でひたすら同じコースへとアタックを繰り返す。
- 沙織
- (独白)恐い、とっても恐い。
このまま、ふきふき回路が暴走して、身も心もふきふき回路に押しつぶされてしまうんじゃないかと思うと、、、
今まで「新城沙織」として過ごしてきた時間も、記憶もすべてふきふき回路のどす黒い淫乱にぬりつぶされてしまうんじゃないかって思うと、、
(絶叫)そんなの嫌っ!タイミングを外してトスをスルーしてしまう。その場にへたり込む沙織。トスマシンから単調に打ち出されるバレーボールが床に転がる。
肩で息をする沙織。かちん、と音がしてトスマシンが止まる。振り向くとそこには祐介がいる。
- 祐介
- 沙織ちゃんらしくないな。スパイクを失敗しちゃうなんて。
- 沙織
- (一瞬、沙織に満面の笑顔。しかし、ふぃっと下を向く)何か用?
(つっけんどんに)瑠璃子さんと仲良くヤックにでもいらしたのかと思ってましたわ。- 祐介
- 沙織ちゃん、どうしたの?ちょっと変だよ?
- 沙織
- (顔を上げる。涙目になっている)変になっちゃったのは祐クンの方よ!
気が付いたら、遠くに行っちゃってて。瑠璃子さんとばかり、、- 祐介
- 沙織ちゃん、、、
気まずい時間が流れる。意を決して祐介が緊張を破る。
- 祐介
- ゴメン、沙織ちゃん。ぼくは、、
- 沙織
- (耳をふさぐ)云わないで!聞きたくない!
- 祐介
- 聞いてよ、沙織ちゃん。ぼくは分かったんだ。…いや感じるんだ。瑠璃子さんとぼくとの間には、、
- 沙織
- (祐介の言葉を遮る。涙が頬をつたう)どうしてよ、、どうしてなの、、
- 祐介
- (沙織の涙にたじろぐ)沙織ちゃん…
- 沙織
- 今までのあたしたちの時間は何だったの?あれは嘘?あれは幻?
ロボットのあたしと、人間の祐クン。二人の間にあった「分かり合えた」ものは何だったの?
- 祐介
- あれは、嘘なんかじゃないよ。ぼくは沙織ちゃんが好きだった。
- 沙織
- どうして?
あたしと、瑠璃子さんとどう違うの?瑠璃子さんと何を分かり合ったって云うの?お互い知り合ってまだほんの数日しか経ってないじゃない?
(祐介の両肩をつかんで揺する)ねぇ!答えてよ!人間って、オトコノコってそんなに簡単に、別れたり結ばれたり出来るの?- 祐介
- ちがうんだ…瑠璃子さんは特別なんだ。
いくら話しても分かってもらえないだろうけど、ぼくらは生まれるずっと前からお互いを分かり合っていた、そんな気がするんだ。- 沙織
- (絶叫)そんな勝手な話!
沙織は祐介に抱き着くと唇を押し付ける。たじろぐ祐介。
- 沙織
- (唇を離す。熱い息をはく)こうすれば、、、分かり合えた気分になるんでしょ?
- 祐介
- (悲しそうに)ちがう、そうじゃないんだよ、沙織ちゃん。
- 沙織
- じゃぁ、なんだっていうの!
- ナレーション
- 沙織の感情の高まりとともに、ふきふき回路が暴走を始めてしまった。ふきふき回路によって快楽が奔流の様に湧き出、沙織は自分の行動をコントロール出来なくなる。
- 沙織
- (切なそうに)ううっ(股間を抑えてうずくまる)
- 祐介
- 沙織ちゃん!プロフェッサーツキシマの毒電波笛かい?!
- 梓
- (声だけ)ちがうわ、さおりんは自分でふきふき回路を解放しようとしてるのよ。
物陰に隠れていた梓(=アズサムラサキ)が出てくる。
- 沙織
- (苦しそうに)あ、あなたは、、
梓が顔の前で手を十字に組むと、ボンテージファッションに身を包んだアズサムラサキへと変身する。
- 沙織
- (苦悶とも愉悦とも見える表情)アズサムラサキ!これはあなたのせいだったのね!
- アズサムラサキ
- すっかりチヅル姉の作戦にはまっちゃったわね、さおりん。
でも、今のあなたの姿は本当のあなたの姿なのよ。自らの欲望にしたがって行動すると、ふきふき回路はその真のチカラを発揮するんだから。
さぁ、これからがショウタイムよ!あなたの理性で抑制されて不完全になっていたふきふき回路が、完全な姿になるの!
プロフェッサーツキシマ!どうかあなたのお力をお貸し下さい!セイトカイ秘密基地にて、プロフェッサーツキシマは長衣をたなびかせながら毒電波笛を吹く。
- プロフェッサーツキシマ
- セイトカイに生まれし欲望の化身、さおりんよ。
今こそ己が欲望を解放するがよい。そして、思い人である長瀬祐介と存分に交接(まぐわ)うがよい。
- ナレーション 自発的作動をはじめていた不完全なふきふき回路がさらにプロフェッサーツキシマの毒電波笛によって作動を促進された。普段の10倍以上の苦痛と快楽に沙織はさいなまれるのだ。
- 沙織
- ふぁぁぁぁっ!
- 祐介
- だめだ!沙織ちゃん!ふきふき回路なんかに負けちゃ駄目だ!
- 沙織
- ゆ、祐クン、、、
(独白)でも、ここであたしががんばって堪えても、祐クンの心は瑠璃子さんのもの、、、
(ここで、アズサムラサキの「彼にあなたの操をささげて、ふたりは固く結ばれるの」という言葉がフラッシュバックする)
いやぁぁっ!沙織の目がとろん、とする。にやけた下卑た表情。ふらり、とたちあがると祐介にしなだれかかる。
- 祐介
- さ、沙織ちゃん!
- アズサムラサキ
- そのまま、変態ロボットになっちゃいな!
- ナレーション
- 祐介を思う切ない気持ちが、ふきふき回路を抑えている理性を上回った!
沙織のふきふき回路は今完全に解放されてしまった!沙織は祐介を床に押し倒して馬乗りになると、むしゃぶりつくような激しいキスをする。必死で逃れようとする。しかし、沙織の強力な力で押さえつけられ、動く事が出来ない。
- 祐介
- (やっとの思いで沙織の“口撃”から逃れて)やめるんだ。沙織ちゃん!ふきふき回路なんかに負けちゃ駄目だ!ホントの沙織ちゃんに戻るんだ!
- 沙織
- (祐介の言葉をくすり、と笑う)ホントのあたし?
今のこのあたしこそホントの沙織なのよ。今まで、小賢しい理性でふきふき回路が押え込まれてたけど、今ようやく解放されたわ。
今のあたしは不完全でない、完璧な沙織なのよ!- 祐介
- うそだっ!(沙織に、ズボンごしにペニスを愛撫される)うっ!
- 沙織
- (祐介を愛撫しながら)ふふっなんだかんだいいながらこんなに立派になっちゃってるじゃない。あなたも欲望を解放してスナオになりなさいな。
沙織はなれた手つきで、ジッパーを引き降ろしズボンからペニスを取り出す。いとおしげにペニスをさする沙織。
- 沙織
- はぁぁん、たくましいわぁ、祐クンの(くすくすと笑う)
- 祐介
- (必至に)や、やめろぉっ!
- 沙織
- (こ惑的に)祐クンも気持ちよくなりたいんでしょ?
あたしがとってもイイ気持ちにさせてあげるわ。瑠璃子の事なんか忘れてしまうくらいにね。- 祐介
- (独白)る、瑠璃子さん…
沙織は亀頭をいやらしくしゃぶり始める。成り行きを興味津々に眺めているアズサムラサキ。沙織の絶妙の舌技に祐介はもだえる。沙織は祐介を愛撫しつつ、あいている手で自分の陰部を激しく自慰する。
- 沙織
- ちょうだい、祐クンの熱いのを!
それまでの愛撫に変わって、亀頭を口いっぱいにほおばってストロークを速める沙織。猛烈な射精感に苦悶の表情の祐介。必死にこらえているが遂に放ってしまう。
- 祐介
- あうっ!
祐介の放った精液を飲み干す沙織。口をペニスから離すと、口元に精液がしたたっている。熱い息をはく沙織。
- 沙織
- おいしかったわ、祐クン(にやりと笑う)。気持ちよかった?
今度はあたしを気持ちよくさせて。体の位置を動かして、祐介のペニスを騎乗位の体位で迎え入れようとする沙織。
- 祐介
- (泣きながら)だめだっ!それだけはだめだ、沙織ちゃん!
- 沙織
- (切ない声で)みて、もうこんなにぐしょぐしょなの。我慢できない!
だいじょうぶよ、祐クンも気持ちよくさせてあげる。
(挑発的な表情で)瑠璃子なんかには出来ない気持ちいいコトをしてあげるから。祐介のペニスが挿入されようとしたその瞬間、突如現われた瑠璃子が投げたナイフが体育館の照明を破壊する。
ナレーション
- 壊された照明のスパーク音によって、ツキシマの笛の音はカットされた!
沙織はさおりんにチェンジする!
- 沙織
- ちぇいんじ!
すいっちおん!わん!つー!すりー!フルバージョン変身シーン。さおりんにちぇんじ。
- さおりん
- よくも、かってなことをしてくれたわね!容赦しないわよ!
アズサムラサキの腹に正面蹴りを食らわせる。不意をつかれたアズサムラサキは10m先に吹き飛ばされる。
- さおりん
- 祐クン!
祐介の元に駆け寄ろうとするが、祐介は瑠璃子に抱かかえられて体育館から連れ出される。
- アズサムラサキ
- よそ見などするな!さーおりん!
アズサムラサキの攻撃。さおりんは軽くバック転して逃げる。
- アズサムラサキ
- (あざけりの笑い)さっきまでマ○コ汁たらしてよがってた奴なんかが、あたしにかなうとでも思ってるの?
- さおりん
- さおりんにチェンジしたわたしに、そのような言葉をつかって動揺させようともむだだぞ!
- アズサムラサキ
- むむっ!
宙に飛ぶアズサムラサキ。さおりんも宙に飛んで空中肉弾戦を繰り広げる。
- アズサムラサキ
- 雨あられと行くわよ!
口から曳光弾を吐いてさおりんに打ち掛かるアズサムラサキ。しかし、さおりんはことごとく避ける。
- さおりん
- こちらからゆくわよ!大回転アタック!
空中一回転からボディシザース。馬乗りになってタコ殴りするさおりん。
からくも逃れて逃げようと飛び去るアズサムラサキ。
- アズサムラサキ
- くそっ出直しよ!
- さおりん
- 逃がすものか!わたしの怒りをうけてみろ! ひーのーたーまーっ!すぱーいくっ!!
- アズサムラサキ
- ぎゃぁぁぁぁぁっ!
さおりんの必殺技、火の玉スパイクを受けアズサムラサキは爆発、炎上。
宙から、アズサムラサキのパーツ(歯車、スプリング)が、からからと落ちてくる。
決めポーズをとるさおりん。爆発した煙の向こうから、人影。歩み寄ってきて、それが瑠璃子である事が分かる。
- さおりん
- 瑠璃子さん!祐クンは?
- 瑠璃子
- 鎮静剤をあげたわ。向こうで寝てる…
- さおりん
- (安堵の表情)よかった、、、
- 瑠璃子
- (無表情だが怒りが伝わるような演技をすること)よかった?長瀬ちゃんがあんなになっちゃうまで精神的に攻撃したのはあなたなのよ、さおりん。
- さおりん
- そ、それは、、、
- 瑠璃子
- あなたのそのふきふき回路が、あなたのちっぽけな嫉妬心が彼を傷つけたの。
- さおりん
- それは!あなたが急に現われて祐クンのココロを!
相対峙するふたり。さおりんがきっと瑠璃子をにらむ。
- さおりん
- あなた、一体誰?
瑠璃子はスカートをたくし上げると、ナイフを取り出す。顔の前にナイフをかざし、ひかりに包まれ、るりるりにチェンジする。
- さおりん
- やっぱりあなたがるりるり、、、
- るりるり
- さっきのアズサムラサキを倒したお手並み、なかなかやるわね。
でも、あなたより強いロボットもいるの…
(冷たく笑う)あなたの命も、長瀬ちゃんのココロもわたしのもの…
- ナレーション
- 謎の転校生、瑠璃子はセイトカイの悪の戦士るりるりだった!
さおりんは今最強の敵を迎え最大のピンチを迎えた。
闘えさおりん!祐介のために!
〜 エンディング 〜
戦え!! 人造人間さおりん(うた:新城沙織、コロムビアゆりかもめ会)
♪ ぶるまのさおり〜 ぼくらのなかま
へいわをまもって きょうもゆく
どんなてきでも へいちゃらさ
ひのたまアタック ぶちかませ
セイトカイロボット やっつけろ〜 ♪
「次回予告」
祐介を強姦しようとした事を責められ、ショックで沙織のココロは千々に乱れる。更に、白骨チヅルの策略で、沙織がふきふき回路をもったアンドロイドである事が全校中に知れてしまう。祐介から遠ざけられ全校生徒から奇異の目で見られる孤独の中、アズサムラサキの復讐に燃える姉妹ロボットハツネグレイがさおりんの前に立ちはだかる!
次回「痴女沙織、全校指名手配」に御期待ください!