「僕は1人の少女と出逢った」 エッセイ/挿絵:coolly |
「8月5日、僕は2人の少女と出逢った」
- 序文
「柏木楓」というキャラクターがいる。
「痕」というゲームを初めてプレイしたときから今日に至るまで、彼女の存在は常に私の心を捉えて離さない。
そこまで私を突き動かすものはなんなのか。初プレイ時の彼女のイメージがあまりに強烈だったからに他ならない。しかし、そのイメージの形成には実に様々な要因が絡み合っている。
そこで、ここでは、その要因の一つ一つを検証し、私が「柏木楓」に惚れ込んだ、その過程を明らかにしようと試みる。…などと、めんどくさげな言葉を並べてみましたが、要は「私はこうやって楓ちゃんにハマっちゃったんだよーん」ってなことを、もう一人、同時期にハマった女優さん、武田恵子ちゃんの事と一緒にずらずらと書くだけの、単なる落書きです。はい。
- 夏コミ前夜
私はsugich氏の「晴れた日はよく届くから…」の制作に駆り出されていました。
モーローとした意識の中で、その中に記述されたある一文が私の頭の中にインプットされてしまいました。
「楓ちゃんは土萠さんちの蛍ちゃんに似ている」
この二人、絵から受けるイメージはたしかにおんなじ様なものです(暗くていじいじしてるって感じ)。ふたりともおかっぱだし。
当時私は「痕」は未プレイであり、さらに動く蛍ちゃんというのも見たことがなかったので、素直に納得してしまったのでした。
- 運命の8月5日〜昼の部
この日はセーラームーンミュージカル夏公演の初日。
以前に1回見て以来、とんとご無沙汰していたこのミュージカル、私はTVのせらむんは見ていないこともあり、かなり新鮮な気分で鑑賞していました。
そのとき、彼女が現れたのです。
彼女の名前は、土萠蛍・セーラーサターン役の「武田恵子」ちゃん。
前述の通り、私の蛍ちゃんに対するイメージは「暗い」です。だがしかし、恵子ちゃんが見せてくれたものは明るく可愛く元気な蛍ちゃんでした。
そのイメージの差にぼーぜんとしている間にも、恵子ちゃんは元気に舞台を動き回ってくれます。あまつさえ、ボレロにミニスカートという、超可愛い格好をも見せてくれたのです。
この衣装がくせものでした。某PC-FXのイメージキャラクター、ロルフィーちゃんの基本コスチュームとデザインがそっくりだったのです。ロルフィーのデザイナー、只野和子さんの絵が好きで、さらにFX関連イベントの度にロルフィーグッズを買いあさっていた私にとって、これを気にするなというのは無理なこと。私の視線は恵子ちゃんに集中しはじめます。そして最後にとどめの一発。可愛い仕種で見せてくれた「蛍ぱ〜んち!!」。
もぉ、ダメです。恵子ちゃんの魅力にノックアウト。それ以来、私の視線は恵子ちゃんにくぎづけ。私の頭の中には恵子ちゃんが強烈に印象づけられたのでした。
その後、彼女は、見るたびにもっと元気に、もっと可愛くなっています。
- 運命の8月5日〜夜の部
ミュージカルを見て恵子ちゃんで頭がくらくらになっている帰り、私は「晴れた日はよく届くから…」を完成させるという名目で、「痕」をプレイすることになりました。
まず1回目。例の最悪エンド。
なんでふつうにやっててこうなるんだと思いながらも2回目スタート。こんどはさっきと違うことをやってみよう、ということで梓をちゃかして楓シナリオに突入したのでありました。
まず驚いたのがキャスティングの妙。
私ははじめてエディフェルが登場したとき、てっきりこれは過去の千鶴さんだと思い込んでしまっていたのです(こんなの、私だけか?)。しかし、話が進むにつれて、なんかおかしいぞと思いはじめ、エディフェル=楓ちゃんというのが判明したとき、私は「はー」と関心してしまったのです。それまで柏木四姉妹の中で一番目立たない存在だった彼女が、じつは最重要(に限りなく近い)キャラだったのですから。これで楓ちゃんの存在が私の中でかなり印象づけられました。
そしてそれに続く一連のやりとり。ふるふると頭を振る様子なんか想像しただけでもう可愛くて可愛くて。そしてこのあたりから問題の思考が頭をもたげてくるのです。「楓ちゃんと蛍ちゃんは似ている」
私はTVのせらむんは見ていません。加えてミュージカルを見たばかりです。頭の中には恵子ちゃんのイメージが強く強く強く残っています。
楓ちゃん=恵子ちゃん、という図式ができるのは至極まっとうなことでしょう(ほんとか?)。
一度そこまでたどり着いてしまうともうおしまいです。
両者の間でイメージはいったりきたりいったりきたりいったりきたり。どんどん増幅され、恵子ちゃんが「お願いです、もう苛めないで」と泣いちゃうところまで想像してしまいます。楓ちゃんが泣いちゃうところを想像しただけでも可愛くて可愛くてもうしかたないのに、そのうえさらに恵子ちゃん。
この両者から受けるイメージはかなり強烈です。
もう頭がくらくらくら。
さらに付け加えるならば、私は楓シナリオのような前世モノ、というか約束モノが大好きです。約束モノでは私が個人的に96年最高傑作だと思っているアニメ作品にOVA版「神秘の世界エルハザード」第7夜がありますが、エディフェルの死のシーン、私はなぜかエルハのイフリータまで思い出しています。「あたなのぬくもりを忘れない」というエディフェルの言葉と、「ああ、やっと逢えた、やっと」というイフリータの言葉がこれもまたぐらぐらと増幅しあって拭いがたい強烈な印象を私の中に植え付けたのでした。というわけで、様々な要素がいろいろと絡みあった結果、楓ちゃん、恵子ちゃん、および楓シナリオは私にとってしばらくは忘れ得ぬものになってしまったのです。
…偶然が重なり合うと、ものすごいパワーを発揮するものなのですね。ちなみに、私の「楓ちゃん=恵子ちゃん」のイメージ同化は更に進んでいます。
ミュージカル冬公演、恵子ちゃんが例の衣装でしゃがむ(正座する)、という場面が多々見られ、ミニスカでそういうことをすると何が起きるかは容易に想像がつくと思いますが、そのちらちらと見える恵子ちゃんのアンダースコートを見つつ、私は思わず恵子ちゃんに「ふきふき」というのを想像するのでありました(爆)。ところで、楓シナリオですが、ハッピー直前、耕一が目を覚ますところで終わっていればすごくかっこよかったと思うのは私だけでしょうか?
…実際そんなことをやられたら、せつなすぎてとてもやりきれない気持ちになったのでしょうけど。
- 結言
楓ちゃんは可愛い。恵子ちゃんもすごく可愛い。
二人とも、好きです。
〜 おわり 〜